以前、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」を利用するには、会社本体について準則型私的整理手続きを行うことが必要であるところ、中小企業再生支援協議会の手続を利用できる中小企業は限られるし、かといって、特定調停の手続は、経営者保証ガイドラインが想定する手続きとはかなり違うので、実際問題として、「保証債務の整理」はあまり利用することはできないのではないか?したがって、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」を利用できる手続きを作ることが重要だ!というような趣旨の記事を書きました。

ところが、日弁連がやってくれました。
金融円滑化法終了への対応策としての「特定調停スキーム利用の手引き」というものが以前からあったらしいのですが、経営者保証ガイドラインの公表にともない、最高裁判所、経済産業省中小企業庁、金融庁と協議を行い、この手引きを改訂し、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」が利用できるようにしました(平成12年12月12日付で改訂したとのこと。)。

日弁連のHPの該当箇所のリンクを貼っておきますが、ここには、書式も用意されています。

http://www.nichibenren.or.jp/news/year/2014/141226.html

ざっと手引きを読んだところ、調停申立前に、事前に経営改善計画を策定し、金融機関と調整して、同意の見込みを得る必要がある、とのことであり、必ずしもハードルの低い手続では『ない』のですが、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」の土俵として、特定調停が利用できることが公に公認され、手続きの流れを作ってくれただけでも、凄い進歩だと思います。

我々、事業再生をしている弁護士の課題は、この特定調停の手続を利用して、中小企業の事業再生や経営者保証ガイドラインの手続を実務に定着させていくことなのではないでしょうか。

いずれにしても、日弁連、ありがとう!