ペコちゃん


本文とは全く関係ありませんが、有楽町不二家のペコちゃんです。夏らしく衣替えですね。








企業に勤める研究者らがその企業の職務上発明をした場合のことを「職務発明」といって、現行の特許法では、
① 特許を受ける権利は発明をした研究者個人に属しますが(
291項柱書及び351項)、就業規則等で予め定めることにより、企業はその特許を譲り受けることができ(331項及び353項)、
② 他方、従業員は、職務発明の承継等について「相当の対価」を受ける権利を有し(
353項)、さらに、
③ その対価については、特許就業規則等で定めることができるものの(
354項)、それが不合理なものであれば、裁判所に「相当の対価」の支払いを求めて訴えを提起できる(354項・5項参照)
という制度になっています。


しかし、このような制度では、企業が高額の支払いを迫られる訴訟リスクが高いとして、経団連等の強い要請があって、政府は、2013625日、「知的財産推進計画2013」を決定し、(1)職務発明を当初から企業が保有する(対価については特に定めない。)こととするか、(2)(帰属についても特に定めないで)従業員と企業の契約に委ねることにするか、のどちらかに改めるとの制度を示しました。

この政府の方針に対しては、朝日新聞が、「会社での発明 特許権は従業員に残せ」という社説(2013619日)を発表し、批判的な論調であり、また、ネット上でも産業界の要請に屈して労働者(研究者)の権利がはく奪されるというような論調の意見が散見されるところです。

私としては、あまりこの問題には関心がなかったのですが、先日、ある大学教授の論考に接し、前述の「産業界が労働者の権利を奪う」というような主張は、そもそもこの問題の本質を全く理解していないことが良くわかりました。理由は以下のとおり。 

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