社員のモチベーションをいかにしてあげるか―経営者や人事担当者が悩む問題です。この問題に関連して、「動機付け要因」と「衛生要因」に分けて考える理論をご存知でしょうか。

ちなみに、私が、初めてこの理論の存在を知ったのは、「イノベーション・オブ・ライフ」という本です(読んだのはもう何年も前ですが、面白かったです。)。


 


最近、手にとった「グロービスMBA組織と人材マネジメント」にも、この理論に触れられていました。


グロービス MBA組織と人材マネジメント
グロービス経営大学院
ダイヤモンド社
2007-12-14



 

さて、これは、アメリカの心理学者ハーズバーグによって提唱された、“欲求”からの分析理論です。欲求というとマズローの欲求5段階説を想起される方が多いと思われますが、それとは観点が異なります。

端的に言えば、

● 人間が仕事に満足感を感じる要因(動機付け要因)

● 人間が仕事に不満足を感じる要因(衛生要因)

は、全く別物であるという考え方です。前者は、「人間として精神的に成長したいという欲求」に基づくものであり、後者は、「動物として痛みを回避したいという欲求」にも基づくものとされています。

 

衛生要因をいくら解消しても、不満足の解消にはつながるが、満足感を高めること、ひいてはモチベーションを向上させるとは限りません。満足感を高めるには、動機付け要因にアプローチしなければなりません。

動機付け要因には、仕事の達成感、そのもののやりがい、責任、自己実現や自己成長などが分類されます。

他方で、給与等の労働条件は衛生要因である。その他労働環境等も衛生要因に分類されます。それから、組織の価値観や上司の存在・関係等の問題も衛生要因です。

衛生要因に目を向けることも必要ですが、これらの衛生要因のみに手を打ち続けても、必ずしも、モチベーションが向上するわけではないのです。モチベーション向上の観点からは、動機付け要因にどのようにアプローチするかという打ち手が必要となります。

以上のハーズバーグの理論も、完全なものではありませんが、経営戦略のうち、人事・組織論において、モチベーションとの関係では、衛生要因と動機付け要因を分けて考える、この理論があることを知っておいて損はないと思います。

 

経営者サイドを離れて、個人の視点からしても、例えば、給与等の労働条件の向上のみを追い求めても、不満足は解消されるかもしれませんが、決して、満足感を得られるとは限らないということになります。よって、どのような組織で、どういうキャリアを描いて、働いていくのか、という考えの指針になるかもしれません。極端にいえば、お金のみを追い求め続けることによってずっと不満足を抱えて職業人生を過ごすこともありえます。

モチベーションを上げて、情熱的に仕事に取り組むためにも、仕事そのものに意義を見出したり、責任ある仕事をしているという実感であったり、自己実現や成長、達成感ということに目を向けることが重要といえます。