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 今回は、「組合員である株式会社の代表者が死亡したが、実は、その会社が休眠会社らしく、新しい代表者が選任されない場合、組合はどうしたらいいのか?」という問題を扱いたいと思います。組合としては、その会社に(代表取締役ではないが)平取締役がいる場合、その取締役に対して通知することで、事業を進めたいところですが、果たしてそれで良いのか?という問題です。

 

 このような問題が実際にあるのか?という方がいらっしゃるかもしれません。
 ところが、実務をしていると、ちょくちょく出くわすのです。
 たとえば、地元の小さい不動産会社が土地区画整理事業の始まる前に、施行地区内の土地を買って分譲して売ったが、一部形の悪い土地が売れ残っており、そうこうするうちに、その不動産会社は休眠状態に陥り、社長が死亡後も後継者もいない、といった事案です。

 

 まず、この株式会社が、取締役会が設けられている取締役会設置会社の場合はどうなるでしょう。取締役会設置会社の場合、代表権を有する代表取締役以外の平取締役には業務執行権が認められておらず(会社法348条1項括弧書)、組合の行う換地処分等の行政処分を受領する権限もありません。そこで、この会社の取締役会が新しく代表取締役を選任しないのであれば、組合としては、会社法351条2項に基づき、裁判所に一時代表取締役の選任するよう申立てなければならないということになります。

 

 次に、その会社が、取締役会を設置していない会社の場合はどうでしょうか?このような株式会社の形態は、平成18年に新会社法が施行されることにより認められるようになりましたが、有限会社から株式会社に移行した会社や、新会社法施行後に設立された小規模な会社には多い組織形態です。
 この場合、会社法の定めでは、各取締役が原則として会社の業務を執行し(会社法348条1項)、会社を代表する権限を有しますので(会社法349条1項・2項)、他に取締役がいれば、その取締役に通知することができそうにも思うのですが、実は、代表取締役を選任した場合には、他の取締役は代表権を有しないこととなっており(会社法349条1項但書)、仮に選任された代表取締役が死亡したとしても他の取締役の代表権が復活することはないと解釈されています(相澤哲編『立法担当者による新・会社法の解説』103頁)。
 したがって、取締役会を設置していない会社にあっても、代表取締役が選任されている場合には、その代表取締役が死亡した場合には、新たに株主総会等で代表取締役を選任してもらわなければならないということになります。選任されないのであれば、結局、会社法351条2項に基づき、裁判所に一時代表取締役を選任してもらわなければならないということになるのです。

 

 では、裁判所に一時代表取締役を選任してもらうにしても、その手続きにはどれくらいの費用と時間がかかるのか?というのを知りたいですよね。
 これについては、私の経験から、各管轄裁判所においてスポット申立てという簡易な申立てを認めているかによる、ということが言えるかと思います。スポット申立てというのは、裁判所によって選任された一時代表取締役には、組合からの書類の受領と、もし将来的に清算金の交付が見込まれるのであれば、その清算金の受領をしていただきたい(ほかの業務はありません)と一時代表取締役の職務を限定して申立てをするのです。その際に、一時代表取締役候補者として地元の弁護士を推薦することができると、裁判所の手間が省けますのでスムーズになります。この辺は、裁判所にいかに事案を理解していただき、手続きを円滑に進められるかという問題ですので、まさに弁護士の腕の見せ所だと思います。

 

 弊事務所ではスポット申立ての経験がありますので、もし類似案件にお困りのときは、遠慮なくご相談いただければと存じます。

大野屋
(弊事務所から見ると、三原橋の交差点のちょうど向かいにある足袋、手ぬぐいを売っ

ている大野屋さんです。HPによると明治元年から創業しているとのこと。店のたたず

まいから、伝統的な銀座が感じられますね。


土地区画整理組合の事業資金が不足する場合、組合は組合員から賦課金を徴収して、事業資金にあてることができますが(土地区画整理法40条1項)、組合員に賦課金を課すには、組合員で構成される総会の決議を経なければなりません(土地区画整理法31条7号。なお、総代会制をとっている組合では、総代会決議を以て総会決議に代用できます。土地区画整理法36 条1項・3項参照)。
つまり、総会の決議がない限り、組合は組合員に賦課金を課すことができないのです。そこで、組合の執行部が賦課金を課すことによって、資金不足の問題を解決しようとする場合、まず総会で賦課金決議が通るように組合員を説得する必要があります。
ただ、実は、組合員とはいっても大部分は事業に積極的に関わっている人ではありませんし、中には、事業に反対している人もいますので、組合員を説得するのは大変です。
そこで、私の経験から、賦課金の負担について組合員を説得する論理・方法というものを考えてみたいと思います。

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