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以前、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」を利用するには、会社本体について準則型私的整理手続きを行うことが必要であるところ、中小企業再生支援協議会の手続を利用できる中小企業は限られるし、かといって、特定調停の手続は、経営者保証ガイドラインが想定する手続きとはかなり違うので、実際問題として、「保証債務の整理」はあまり利用することはできないのではないか?したがって、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」を利用できる手続きを作ることが重要だ!というような趣旨の記事を書きました。

ところが、日弁連がやってくれました。
金融円滑化法終了への対応策としての「特定調停スキーム利用の手引き」というものが以前からあったらしいのですが、経営者保証ガイドラインの公表にともない、最高裁判所、経済産業省中小企業庁、金融庁と協議を行い、この手引きを改訂し、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」が利用できるようにしました(平成12年12月12日付で改訂したとのこと。)。

日弁連のHPの該当箇所のリンクを貼っておきますが、ここには、書式も用意されています。

http://www.nichibenren.or.jp/news/year/2014/141226.html

ざっと手引きを読んだところ、調停申立前に、事前に経営改善計画を策定し、金融機関と調整して、同意の見込みを得る必要がある、とのことであり、必ずしもハードルの低い手続では『ない』のですが、経営者保証ガイドラインの「保証債務の整理」の土俵として、特定調停が利用できることが公に公認され、手続きの流れを作ってくれただけでも、凄い進歩だと思います。

我々、事業再生をしている弁護士の課題は、この特定調停の手続を利用して、中小企業の事業再生や経営者保証ガイドラインの手続を実務に定着させていくことなのではないでしょうか。

いずれにしても、日弁連、ありがとう!

このブログでフォローしている『経営者保証に関するガイドライン』の適用状況についてですが、昨日(2014年8月18日)の日本経済新聞朝刊に、東京中小企業家同友会の5月時点の調査として、回答企業301社のうち4%の12社が経営者保証を外せたことが紹介されています。九州・沖縄ブロックの各同友会の合同調査でも762社のうち1.3%の10社が経営者保証を外せたようです。

この4%とか、1.3%という数字について、「それしか」経営者保証を外せないのか?という見方もあるかもしれませんが、経営者保証ガイドラインは、金融機関に対し、一定の条件をクリアーした中小企業について経営者保証を求めないことを要請するガイドラインですので、むしろ、私の実感としては、けっこう効果を発揮してきているな、というものです。

この調子で、(徐々にではあるかもしれませんが)経営者保証に依存しない金融実務が広がってくれればイイネ!

(ちなみに、同記事では、東京中小企業家同友会が7月に開催したガイドラインの勉強会が写真で紹介されていますが、私も、同勉強会に参加しておりました!)

1.みなさま、『経営者保証に関するガイドライン』って知っていますか? 
現在、法制審議会で議論されている民法改正では、金融機関の貸付債権について個人保証人をとることができなくなりそうですが(個人保証を取っても無効)、会社の経営者が個人保証人となることは例外的に認められそうです。ただ、中小企業に対する融資であれば必ず経営者の個人保証が要求されているような現在の実務慣行は、金融機関および中小企業相互の不信感を増長させるものとなっていますし、中小企業の事業承継や事業再生の弊害にもなっており、このままでは、さすがにイケないでしょう、ということで、全国銀行協会と日本商工会議所が研究会を立ち上げて、昨年12月に、いわゆる紳士協定ということで策定したのが、この経営者保証ガイドラインです。

で、どのようなことが書かれているかというと、経営者保証に依存しない融資を促進するために、中小企業側に、経営者保証を外してもらいたければ、①会社と経営者個人の財産を明確に分離しなさいとか、②財務基盤を強化しなさいとか、③金融機関にきちんと情報開示しなさいとか要請し、他方、金融機関側には、(ア)経営者保証の代替となる契約類型を準備し、経営者保証を求めない可能性をきちんと審査しなさいとか、(イ)経営者保証を求めるときには、その理由を丁寧に説明しなさいとか、(ウ)事業承継のときにも、単純に新経営者に保証を引き継がせるのではなく、経営者保証を求めない可能性もきちんと審査しなさい、などと要請するもので、従来の中小企業金融の実務を知っている者からすれば、かなり画期的な内容です。

今年の2月1日から適用開始となっており、先日、金融庁から、経営者保証ガイドラインを活用された事例を紹介した事例集も公表されました。

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先日、経営者保証に関するガイドラインを起草した委員の方の講演会に出席してまいりました。
その先生が興味深いことをおっしゃっていたので、備忘もかねて記載させていただきます。

金融機関に、「なぜ経営者保証を求めるか?」という理由についてアンケートをとってみると、「経営者だから」という回答が圧倒的に多いそうです。
というのは、実際の金融機関の実務では、経営者から情報の開示を受けて大丈夫だと思って貸したのに、すぐに延滞が始まったり、甚だしい場合には倒産してしまい、当然のことながら貸付金は貸し倒れになるわけで、金融機関側からすると、「経営者に裏切られた」とうような事案が発生することがままあり、「経営者である限り、そのようなことがないように、きちんと経営してください。」ということを求めたいそうです。
つまり、金融機関側が経営者保証を求めることの本音は、(もちろん例外はあるでしょうが)「会社の債務が残っている限り、あなたの個人財産・今後の収入を含めて、すべて返済してください。」というよりも、「きちんと規律をもって会社を経営してください。」ということだそうです。
そうすると、保証は、被担保債権額を限度とする人的無限責任であり、いわば「あなたの人生を担保に入れてもらいます。」ということを意味なので、金融機関にとっても、Too Much な要求なわけですが、現状、「きちんと規律をもって会社を経営してください。」ということを担保するような法制度がないので、これを求めざるを得ない、ということのようです。たとえば、他の法制度の候補として、会社の役員の第三者責任(会社法第429条第1項)がもう少し第三者が請求しやすい制度であるならば大分違ってくるだろうということです。
つまり、現状、任務懈怠について悪意・重過失の場合のみしか(しかも第三者側に役員の職務懈怠や悪意・重過失の立証責任がある。)責任が発生しない会社役員の第三者責任(会社法第429条第1項)がもっと使いやすいものとなれば、経営者保証の制限にはあまり抵抗はないということでした。

なかなか筋のとおった見解であり、私はとても感心しましたので、備忘もかねて記載させていただきます。

今年の2月1日から『経営者保証に関するガイドライン』が適用されるようになっていることについては、このブログの過去の記事、その1その2その3、をご参照ください。
ところで、6月4日に金融庁から『「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集』が公表されています。これまでに『経営者保証に関するガイドライン』が活用された23事例について、各金融機関から情報の提供を受けて公表されたもので、とても参考になります。
『経営者保証に関するガイドライン』に興味を持っている方は是非ご参照いただければと思います。

ちなみに、主要行(昔の都市銀行?)の案件は1つしかありません。対象が中小企業だからということがあるかもしれませんが、主要行からも、たくさん中小企業向けの融資がされているはずなので、主要行の取り組みがちょっと遅いのでは、などと思ってしまいました。
また、その主要行の事案は、解除条件付保証契約(条件が充足した場合に保証契約が効力を失う契約。条件充足までは保証は有効。)を利用した事案ということなのですが、その解除条件とは「上場申請」ということです。「会社が上場した場合に経営者保証が外れることは当たり前でしょ!」と突込みを入れたくなりました(笑)。

ただし、このような事例集の公表は本当に価値があると思います。
前のブログにも書きましたが、中小企業だからといって当然に経営者保証が要求される実務慣行が少しでも改善されることを願っております。

経営者保証ガイドライン7.には、「保証債務の整理」について書かれています。

これは、保証債務を私的整理で処理する場合のルールを定めたものということができるでしょう。


ちなみに、私的整理とは、裁判所を通さないで、保証人と保証をしているすべての銀行との間で最終的に保証債務の減免等を合意するための手続と考えておいてください。

我々専門家にとってはもっとも関心があるところですが、ガイドラインの規定からは、少々イメージが掴みづらいと思います。
以下、具体的に見ていきましょう。

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経営者保証ガイドラインは、前半の1.から3.までの目的や適用対象を述べる『総則部分』のほか、大きく分けると、4.から6.までの『保証契約時等の対応等』について述べる部分と、7.の『保証債務の整理』について述べる部分の2つに分けられます。

前者の『保証契約時等の対応等』について記載した部分は、ひとことで言うと「『中小企業』だからというだけで経営者保証を求めるのは止めにしようよ。そのために、これをルールにしようよ。」ということが書かれています。

それに対して、後者の、『保証債務の整理』は、保証債務を私的整理で整理してしまうときの手続を整備したものです。

前者は、業績が伸びている中小企業の経営者にとって、後者は、そろそろ事業を閉じようとしている経営者や弁護士等の専門家にとって関心のある部分ともいえるかもしれません。

今回は前者の『保証契約時等の対応等』について説明していきます。

実は、私はこの部分を読んだときには、現在の中小企業融資の実務を大きく変えるものとかなり衝撃を受けました。それくらいインパクトのある内容です。

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経営者保証に関するガイドライン」の適用が、平成2621日から開始されました。

これに伴い、経済産業省では、中小機構・地域本部等で、ガイドラインに関する問合せ・窓口相談に応じることをアナウンスするなど、対応を本格化しています。

また、平成25年度補正予算が成立した場合、「ガイドラインに基づいて適切なアドバイスが可能な専門家を御紹介します。」とのことです。

http://www.meti.go.jp/press/2013/01/20140130004/20140130004.html
ただ、どうも我々弁護士の間では、この「経営者保証に関するガイドライン」について盛り上がりに欠けているように思います。そもそもこのガイドラインがどのようなものなのかについて知らない弁護士先生も多い。かくいう私自身も、このガイドラインについて講演までしておきながら、我々が関与できそうな「保証債務の整理」の部分について、具体的にどのように関与したらいいのか今一つイメージがつかめないでいます。

そこで、このガイドラインについて、3回に分けて説明するとともに、私の思う疑問・課題などについて述べてみたいと思います。

第1回目の今回は、経営者保証ガイドラインの策定の経緯です。

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