ここ数ヶ月前から、弊事務所の隣のビルの解体工事を行っているようで、時々耳を塞ぎたくなるほどの激しい騒音がします。

もうしばらくは、この騒音と付き合わなければならないことを考えると、思わずため息が出ます。

 

騒音は、いわゆる典型7公害に数えられるものですが(他は大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、進藤、地盤沈下及び悪臭。環境基本法23項参照。)、今回のようなビルの解体工事の場合等、ビルの周辺住民・勤務者くらいしか被害者がいないものでもあっても(航空機の騒音は何千何万人もの人々が被害者となります。)、公害として法的救済が求められることに争いはないでしょう。

 

さて、騒音に対して日々悩まされている弊事務所は、どのような救済を求められるのかが問題になってきます。

騒音に対する救済は、大きく分けて行政的な救済(公法上の規制)と私法上の救済の2つがあります。

まず行政的な救済(公法上の規制)について検討すると、建築工事の騒音は、騒音規制法によって規制されておりますが、建築工事のうち、くい打機やブルドーザーの使用等、著しい騒音を発生する「特定建設作業」のみ規制しています。もっとも、条例で規制できる作業を追加することが可能で、東京都はコンクリートカッターを使用する作業や一定の方法による解体・破壊作業も規制しています。

建築工事の際に、騒音基準(85デシベル以下等)に適合しない等した場合には、解体業者に対して、知事ないし市町村長から是正勧告をすることができ、それに従わない場合には騒音防止方法の改善・作業時間の変更についての命令を行うことができます(騒音規制法15条)。

ただし、残念ながら、改善勧告が行われることは少なく、改善命令に至っては実務上ほとんどないため、仮に騒音基準に適合していない場合であっても、この救済は難しいでしょう。

 

私法上の救済については、精神的肉体的苦痛を根拠に、人格権等の侵害があるとして、不法行為(民法709条)に基づく慰謝料請求を検討するのでしょうか。しかし、受忍限度論というものがあり、これは騒音行為の態様や程度、被害内容、地域性等から考えて、この程度の騒音は我慢しましょうという裁判上の議論があります。

この受忍限度論を考えると、本件の騒音は毎日あるものではなく(これを書いている今日はなぜか静かです。)、日々ビルの建築・解体が行われている地域性等からすれば、今回の騒音は受忍限度の範囲内(我々が我慢しなければならない限度内)という判断になりそうです。

 

やはり、本件の騒音とはしばらく我慢して付き合っていかなければならないようです。

 

ところで、音の大きさが何デシベルであるかどうかは、かつては騒音計がなければ分からなかったのですが、最近はスマートフォンのアプリで音の大きさを測れるアプリがあるようです。精度は分からないですが、騒音基準以内かどうかの参考にはなるのではないでしょうか。

最近は、裁判の証拠にLINEが出てきたりするので、何でもかんでもスマートフォンアプリで裁判の証拠を提出する時代が来るかもしれませんね。