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さて、NEM流出事件後のビットコインですが、前回お伝えしたとおり、1BTC=70万円を割るまで下落した後、上昇に転じていました。その後、1BTC=120万円を超えるところまで上昇したのち、下落に転じ、1BTC=80万円を割るまで下がりました。しかし、319日頃を境に、また上昇し、現在(2018/3/22)、1BTC=96万円前後で取引されています。

この間、312日には、コインチェックが、NEMに関する補償を実施し、NEMの価格は一時上昇しましたが、価格グラフを見ると、ビットコインへの影響は少なかったように思います。

他方、ビットコイン価格の下落の要因となった背景の1つとしては、319日、20日にアルゼンチンで開かれたG20のようです。このG20では、仮想通貨が議題に上がっており、世界的な仮想通貨の規制強化がなされるのではないかとの見方から、ビットコイン価格のマイナス要因となったといわれています。

しかし、結果、ふたを開けてみれば、具体的な規制の合意はなされていません。ビットコイン価格は、この影響もあり、上昇傾向に転じたようです(今のところは。)。ただ、他方で、マネーロンダリング対策のために、今年7月までに規制の在り方をまとめることにもなっています。

このG20の評価については、様々な見方があるようですが、メディアでは、「今後は、規制強化・・・か?」といった、否定的なニュアンスとなっています(実際、新聞などをご覧いただくと分かるのですが、「規制強化」との断定を避け、かなりお茶を濁したような言い方になっています。)。

私個人としては、マネーロンダリング防止のための規制強化に関しては、やり方にもよるでしょうが、仮想通貨業界にとって必ずしもデメリットだけではないように思っています。特に、各国の統一的な規制・ルール作りがなされれば、今回のNEM流出事件のような事件が起こっても、流出した仮想通貨の追跡・ロンダリング防止や犯人検挙などが容易になるのではないかとも思います。また、ロンダリングが困難になり、犯人も容易に検挙されるようになれば、取引所に対するハッキングも「割に合わない」として減ってゆく可能性もあります。

ちなみに、現状、日本では、マネーロンダリング防止の趣旨も含め、世界に先駆けて仮想通貨法(資金決済法の一部)を制定・施行しており、今回のG20でも、議論をリードすることが期待されていました。が、麻生財務大臣は、森友問題への対応を優先して欠席となりました。森友問題が、思わぬところで仮想通貨業界にも影響していますね。

今後は、仮想通貨業界にも配慮しつつ、世界的に統一的な基準を、日本がリードして作って行ければ、と期待を寄せています。

金融庁が無登録営業を理由に世界最大の仮想通貨交換業者の香港に本社があるバイナンスに改正資金決済法に基づく警告を出す方針との報道がなされました。以下、2018年3月23日(金)日本経済新聞朝刊1面の「香港仮想通貨業者に警告」という見出しの記事から抜粋です。

「同社は2017年の設立。扱う仮想通貨は約120種類で手数料も比較的安い。利用者数は世界約600万人。そもに世界最大とされ、日本でも国内業者から同社に取引を移す利用者が多い。
 金融庁は、同社が日本人の口座開設時に本人確認していなかった点を問題視。匿名性の高い仮想通貨を複数扱い、マネーロンダリング(資金洗浄)対策も未整備とみる。警告と同時にホームページを公表する。」

「2017年の設立」って、昨年のこと?という感じでとても驚きますが、こういう業者がいるから、NEMについても、流出したNEMを追跡できても、なかなか犯人の特定には至らないのかな?と思います。少々気になるのが、金融庁のホームページで公表されて、それがどのような意味があるのか?という点。香港の業者が日本の金融庁の指示に従ってくれるのかしら。この分野の規制については、国際的な取り決めが必要という感じがしますね。

2018年3月23日(金)朝刊社会面の「流出NEMほぼ全額交換」「580億円分 財団追跡中止で加速か」との見出しの記事で、コインチェックから流出した約580億円のNEMのほぼ全額が、匿名性の高い闇サイト「ダークウェブ」で他の仮想通貨と交換された疑いがあることが報道されています。私が注目したのは次の部分。

「警視庁は2月下旬に捜査本部を設け、捜査員約100人体制で流出の経緯を調べている。
 捜査本部は同社システムの通信記録(ログ)を解析。流出の数時間前まで同社のシステムが欧米のサーバーと不信な通信をしていたことを確認した。流出に関与した人物が不正にアクセスしてNEMの移動に必要な「秘密鍵」を盗んだ疑いがあるが、発信元の特定には至っていない。
 捜査本部は交換に応じた人物から事情を聴き、ビットコインなどの取引状況を注視している。」

流出したNEMについては、先日、NEM財団が追跡を中止したとの報道がありましたが、警視庁は、流出NEMとの交換に応じた人物から事情を聴いているとのことであり、徐々に犯人の包囲網が狭まっているような印象です。

少々わからないのは、この交換に応じた人物というのは、不正に流出させられたNEMであることがわかっているのに交換に応じたということなのでしょうか?通貨という以上、不正に流出させられたNEMであっても、占有とともにその所有権(権利)は移転し、民法の善意取得条項の規定の適用はない、つまり、不正に流出されたものであることを知っていたとしても、そのNEMの権利は、譲受人に移転する、というふうに考えるのでしょうかね?そもそも何法が適用されるのか、という問題も含め、法的に興味深い論点が沢山あるように思いました。

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